畳の手縫い
昔は手縫いが主流だった畳替えも機械化が進み、現在は、ほとんどの畳屋さんで機械縫いです。
畳の手縫いをする機会は技能士試験や、技能競技会の時ぐらいで、手縫いを一度もしたことないという畳職人も珍しくなりました。
一畳屋では、畳文化の伝承と継承、技術向上のため、折を見て畳の手縫いを行っております。
一枚全部手縫いすることもあれば、部分的に手縫いを行うこともあります。
この日は3人が、畳の框にプラスチック製のコーナーを縫い付けています。
この作業は、板入れ畳の代用です。
板入れ畳とは、畳の短辺に板を縫い込んだ畳のことです。
昔ながらの畳床は稲藁で出来ております(現在は建材床が多い)。
この畳床を弓なりに反らして畳の表を一杯に引っ張って縫いつけます。
そうすると畳の角【框(かまち)といいます】に当たる部分にかなりの力が加わり、
徐々に角が丸くなってきたり、丈【長さ】が縮んできたりします。
このことを「滅入る」と言います。
滅入りを防ぎいつまでも角の立った美しい畳を保つために、畳床の端に板を縫い込む作業を行います。
この作業を行った畳を、板入れ畳と言うのです。
板入れ作業は大変な労力と時間を要する作業ですので、基本をみっちりと学んだ本当の畳作りを知っている職人でないと作ることが出来ません。
また時間も掛かりますので工賃も相当高価となります。
プラスチック製のコーナーを縫い付けることで、「板入れ畳」程ではないかもしれませんが、
畳の角が立った隙間の少ない美しい畳に仕上がります。
一畳屋では、商品ランク「さくら」以上のクラスの畳替えの際は必ずこのひと手間を加えております。
橋本さんは畳一級技能士、一畳屋で一番長い畳歴を誇る職人さんです。
写真手前は高見君さん一畳屋一番の若手、今年畳一級技能士を受験します。
高見さんが合格すると一畳屋の畳一級技能士は7人目。
全国的にも一番多いほうではないかと思います。
お客様が、日本一安心していただける畳屋になるために、
資格があることに慢心せず、今後とも技術の向上に努めていきたいと思います。
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